小児矯正

PED

お子さまご本人の意思を尊重し、
寄り添いながら治療を進めていきます

矯正歯科治療を始める前に

小児矯正では、おもに永久歯がきれいに並ぶための土台づくりを行ないます。
歯列の土台となる顎の成長をコントロールしながら美しい歯並びへと導いていくことは、成長中の子どもの時期だからこそできる治療です。
しかし小児矯正の場合、経過観察も含めて治療に5年以上かかる場合もあり、治療期間が長期にわたるため、途中でお子さまがくじけてしまうことも考えられます。治療を最後までやり遂げるには、お子さまご本人が治療の必要性を理解し、やる気をもって治療を始めることが大切です。
そのため当クリニックでは、決してお子さまに治療を無理強いすることはありません。早期治療のメリットと、放置することのデメリットをご説明し、お子さまが治療を受け入れられる状態になってから治療を進めていきます。また、お子さまが長い治療期間に負けないよう、励ましたりなぐさめたりしながら、常にお子さまに寄り添った治療をご提供するように心がけています。

小児矯正を始めるタイミング

小児矯正を始めるタイミング

「年齢」ではなく「歯の状態」で判断します

小児矯正は、見た目の問題を解消するだけでなく、お口を正しく機能させて全身の健康を得るという視点からも、とても大切です。実際、近年ではお子さまの歯並びを気にされ、矯正治療を希望されるご家族の方のご来院が増えています。
そこでよくいただくのが、「いつから矯正を始めたらいいですか?」という質問です。当クリニックでは、「年齢」ではなく「歯の状態」(乳歯・永久歯の生え替わりの状態)で考えていただくようお伝えしています。

歯の生え方は、お子さまそれぞれで異なります。「乳歯が生え揃う」「永久歯に生え替わる」「永久歯が生え揃う」、いずれもおおよその年齢は決まっていますが、個人差があります。たとえば同じ8歳でも、永久歯の数が必ずしも同じというわけではありません。
つまりここでは、「8歳という年齢」ではなく「乳歯と永久歯がどのような状態か」を考慮する必要があるのです。より良い結果を得るには、歯が生え替わる段階に合わせ、適切な時期に矯正治療を行なうことが大切なのです。

小児矯正を始めるタイミング

「6歳だからまだ早い」「7歳だから矯正相談に行こう」のようにお子さまの「年齢」を基準にしてしまうと、もう少し早ければ治療の幅が広がってより良い方法をご提案できた、ということが起こり得ます。逆に、「歯がまだ生えていない」「乳歯だけしか生えていない」など時期が早すぎて、適切なご提案ができないということもあります。
年齢に制限されない、あくまでも「歯の状態」に合った適切な治療を受けましょう。

小児矯正の2段階治療について

顎の成長力を利用し、上下の顎のバランスや形を整え永久歯の萌出誘導を行なう1期治療と、
永久歯が生え揃ってから歯の位置を調整する2期治療の2段階に分けて治療を行ないます。

1期治療

1期治療

乳歯と永久歯が混在している時期に行なう矯正歯科治療です。
「顎のサイズが小さい」「上下の顎骨のバランスが悪い」などのケースでは、永久歯が正常な位置に生えてくることが難しいため、顎の成長をコントロールして上下の顎のバランスを整え、永久歯が生える位置と噛み合わせが適切な状態になるように歯列の土台を整えます。また、指しゃぶりや舌の癖などが歯並びを乱す原因となっている場合は、その癖を改善していきます。

2期治療

2期治療

永久歯が生え揃ってから行なう矯正歯科治療です。
2期治療では成人矯正と同じように矯正装置を使って歯を移動させ、歯並びと噛み合わせを改善していきます。1期治療で歯列の土台を整えておくとスムーズに治療を進められますが、1期治療をしていなくても2期治療から治療を始めることは可能です。また、1期治療をした結果、2期治療を行なわずにすむケースもあります。

小児矯正のメリット

  • 非抜歯で治療できる可能性が高まる

    MERIT

    永久歯が生え揃う前に治療を開始すると、顎の成長をコントロールして永久歯が正常に生えるためのスペースを確保することが可能です。歯を移動させる本格的な矯正歯科治療が必要なケースでは、歯がきれいに並ぶためスペースがないと抜歯が必要になりますが、小児矯正でスペースを確保しておくと、抜歯をしなくても歯並びを整えられる可能性が高くなります。

  • お顔の形や横顔が整う

    MERIT

    噛み合わせが悪いと、口元や顔の筋肉のバランスが崩れて顔にゆがみが生じることがあります。しかし小児矯正によって噛み合わせが整うと、筋肉バランスが正常な状態になり、ゆがみが改善されるほか、エラの張りが軽減してフェイスラインがすっきりとすることがあります。また、上下の顎の骨格的なバランスも良くなるので、自然で整った横顔になることが期待できます。

  • MERIT

    顎の変形を防ぎやすい

    顎の成長中に噛み合わせのずれを放置すると、顎が変形したりゆがんだりするリスクが高まります。小児矯正で早期に顎の成長をコントロールできれば、噛み合わせが整うだけでなく、顎の変形やゆがみを防ぐことが可能です。骨格的な問題がある場合は、早めに治療を開始したほうが得られるメリットが多いでしょう。

  • MERIT

    手術を回避できる可能性が高まる

    成長期に予想よりも顎の成長が進んでしまうと、成人後に顎の骨を削るような手術が必要となる場合があります。重度の受け口(下顎前突)の場合は、突き出た下顎を分割する手術が必要です。顎の成長をコントロールできる小児期に矯正歯科治療によって顎の過度な成長を抑えることができると、将来的に手術を行なわずにすむ可能性が高まります。

  • MERIT

    本格的な矯正の治療期間を短縮できる

    乳歯と永久歯が混在している時期に行なう1期治療から治療を開始し、永久歯がきれいに並ぶための土台づくりをしておくと、本格的な歯列矯正である2期治療も必要になった場合に、2期治療から始めるより短期間で治療を終えられる可能性が高まります。症例によっては2期治療を行なわずに歯並びや噛み合わせを整えられる場合もあります。

  • MERIT

    永久歯を正常な位置に誘導できる

    顎が小さすぎる場合、永久歯は正常な位置に生えることができず、歯列が乱れてしまいます。小児矯正では、顎の成長を促進しながら永久歯が適切な位置に生えるように誘導することが可能です。成長が完了した成人の顎とは異なり小児期の顎の骨はやわらかいため、よりスムーズに歯並びを整えられます。

  • MERIT

    歯や歯肉へのダメージを防げる

    噛み合わせが悪いと、歯に過剰な負荷がかかるため、歯がすり減ったり周囲の歯肉が退縮したりしやすくなります。小児矯正によって早い段階で噛み合わせを整えられると、歯に余計な負荷がからなくなるため、お子さまの大切な歯の健康を守ることが可能です。

  • MERIT

    顎関節症を予防しやすい

    顎が小さいと顎関節を構成している組織や筋肉も弱くなり、ダメージを受けやすくなります。また、噛み合わせが悪いと顎への負担がかかりやすく、将来的に顎関節症になる可能性が高まります。小児矯正で顎の成長を適切にコントロールし、早期に噛み合わせを改善できると、顎に過度な負担がかからなくなるため、顎関節症のリスクを軽減することが可能です。

  • MERIT

    歯並びが後戻りしにくい

    成人矯正では、矯正装置を使って歯を移動させて整えた歯並びは、治療後に元の位置に戻ろうとします。しかし小児矯正では顎の成長力を利用しながら歯を正常な位置へ誘導していくため、治療に時間はかかるものの治療後に歯が元の位置に戻ろうとする力が少なく、後戻りしにくい点もメリットです。

  • MERIT

    コンプレックスを早期に解消できる

    思春期になると周囲からどのように見られているのかが気になるようになるため、歯並びの乱れがコンプレックスになる可能性があります。そうなってしまう前に小児矯正で早期に歯並びを整えられると、見た目に対して自信をもちやすくなり、お子さまの心の健康を守ることにつながります。

小児矯正のデメリット

  • 治療期間が長期にわたる

    DEMERIT

    小児矯正では、顎の成長が完了する中学生から高校生くらいまで経過を観察する必要があり、治療期間が長期にわたります。小さいころから治療している場合は、全体での治療期間が大人の矯正よりも長くなるため、途中で治療をあきらめないようにフォローしていくことが大切です。

  • 再治療が必要な場合もある

    DEMERIT

    顎の成長発育が治療計画時の予想どおりにいかなかった場合は、成人後に再び矯正装置を使って歯を移動させる治療や、外科的な処置をともなう治療が必要となることもあります。お子さまの背がどのくらい成長するのかを予想するのが難しいように、顎の成長もより正確に予想することが難しいためです。

  • DEMERIT

    お子さまご本人とご家族の協力が必須

    1期治療では、着脱可能な矯正装置をしっかりと決められた時間だけ装着する必要があります。お子さまが治療に非協力的で勝手に装置を取り外してしまうことが続くと、十分に治療効果を得られず、治療が長引いてしまいます。お子さまのご自身のご協力はもちろんのこと、お子さまが装着時間を守れるようにご家族によるサポートも欠かせません。

お子さまご本人の意思を尊重し、
寄り添いながら治療を進めていきます

  • 歯列矯正用咬合誘導装置

    歯列矯正用咬合誘導装置

    下の歯が上の歯より前に出ている受け口(下顎前突)の治療で使用するマウスピース型の矯正装置です。口周りの筋肉を正常に働くように鍛えることで噛み合わせを改善します。おもに就寝中に装着するため負担が少なく、小さなお子さまでも使用しやすい装置です。

  • プレートを使った矯正装置

    プレートを使った矯正装置

    歯列を側方に拡げたい場合に使用する矯正装置です。プレートを口蓋の粘膜に固定し、定期的にネジを回すことで歯列の幅を少しずつ拡げていきます。食事や歯磨きのときには取り外すことができますが、きちんと装着時間を守ることが大切です。

  • ブラケット・ワイヤーによる矯正

    ブラケット・ワイヤーによる矯正

    四角いブラケットとよばれる装置を歯の表面に接着させ、中央にワイヤーを通して引っ張ることで歯を動かす矯正装置です。成人の矯正治療で使用されるものと同じ矯正装置で、永久歯が生え揃ったあとの2期治療で使用します。

●矯正歯科治療にともなう一般的なリスク・副作用

  • ・機能性や審美性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
  • ・最初は矯正装置による不快感、痛みなどがあります。数日から1~2週間で慣れることが多いです。
  • ・治療期間は症例により異なりますが、成人矯正や永久歯がすべて生え揃っている場合は、一般的に1年半~3年を要します。小児矯正においては、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行なう第1期治療で1~2年、永久歯がすべて生え揃った後に行なう第2期治療で1~2年半を要することがあります。
  • ・歯の動き方には個人差があるため、治療期間が予想より長期化することがあります。
  • ・装置や顎間ゴムの扱い方、定期的な通院など、矯正治療では患者さまのご協力がたいへん重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
  • ・治療中は、装置がついているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まるので、丁寧な歯磨きや定期メンテナンスの受診が大切です。また、歯が動くことで見えなかった虫歯が見えるようになることもあります。
  • ・歯を動かすことにより歯根が吸収され、短くなることがあります。また、歯肉が痩せて下がることがあります。
  • ・ごくまれに、歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
  • ・ごくまれに、歯を動かすことで神経に障害を与え、神経が壊死することがあります。
  • ・治療中に金属などのアレルギー症状が出ることがあります。
  • ・治療中に、「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口をあけにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
  • ・問題が生じた場合、当初の治療計画を変更することがあります。
  • ・歯の形状の修正や、噛み合わせの微調整を行なうことがあります。
  • ・矯正装置を誤飲する可能性があります。
  • ・装置を外すときに、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、補綴物(被せ物など)の一部が破損することがあります。
  • ・装置を外した後、保定装置を指示どおりに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
  • ・装置を外した後、現在の噛み合わせに合わせて補綴物(被せ物など)の作製や虫歯治療などをやり直す可能性があります。
  • ・顎の成長発育により、噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
  • ・治療後に親知らずが生えて、歯列に凹凸が生じる可能性があります。
  • ・加齢や歯周病などにより歯を支える骨が痩せると、歯並びや噛み合わせが変化することがあります。その場合、再治療が必要になることがあります。
  • ・矯正治療は、一度始めると元の状態に戻すことが難しくなります。

●歯列矯正用咬合誘導装置による治療にともなう一般的なリスク・副作用

  • ・機能的・審美的に仕上げるための治療なので、自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
  • ・お子さまが治療に協力的でない場合、良好な治療結果を得られないことがあります。
  • ・毎日の装着を怠ると、良好な治療結果を得られないことがあります。
  • ・生涯良好な歯並びであることを保証する治療ではありません。治療後、成長により不正咬合が現れることがあります。
  • ・正しい使い方ができていないと、かえって悪い歯並びになってしまうことがあります。
  • ・この装置だけで、お口周りの問題をすべて解決できるわけではありません。

●プレートを使った矯正装置による治療にともなう一般的なリスク・副作用

  • ・装置後1週間ほどは、発音・嚥下時に違和感を覚えるほか、鼻や口元にツンとした痛みを感じることがあります。
  • ・装置をつけた歯とその周辺の歯に痛みが生じることがあります。また、口内炎を発症することがあります。
  • ・歯列が横に広がることで、一時的に前歯にすき間が生じることがありますが、時間の経過とともに自然に閉じてきます。
  • ・お子さまが治療に協力的でない場合、良好な治療結果を得られないことがあります。
  • ・毎日の装着を怠ると、良好な治療結果を得られないことがあります。
  • ・食べ物が装置につきやすく、歯を磨きにくくなります。とくにワイヤーやねじの部分に汚れが溜まりやすいので、仕上げ磨きをするなどご家族のサポートが必要になることがあります。
  • ・正しい使い方ができていないと、かえって悪い歯並びになってしまうことがあります。
  • ・この装置だけで、お口周りの問題をすべて解決できるわけではありません。

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